JP労組第12回定期大会闘争の報告

2019年10月25日

月刊『労働運動』34頁(0355号07/01)(2019/10/01)

JP労組第12回定期大会闘争の報告―

現場の力でJP労組を闘う労働組合へ再生させよう

岡本 啓三(愛媛労組交流センター全逓部会)

6月に明らかになった「かんぽ営業問題」の収束が全く見えない中で、第12回JP労組全国大会が、熊本市で8月21、22日に開催されました。私たち全逓部会の仲間は、地元熊本で闘っている合同労組の皆さんと共に会場前での情宣行動をやりぬきました。
社会的にも大きく注目されており、会場前には多くのメディアが取材に来ていました。
続々と到着する全国の代議員や傍聴者に対して、「(かんぽ営業問題の)全責任は会社経営陣とJP労組本部にある」「過剰なノルマとスキル評価は中止しろ」と書いたビラを配布しながら、マイクで次々と参加者に訴えました。「郵政民営化がすべての原因だ」「安倍政権の改憲、働き方改革を許さない」などのアピールを、真剣に聞き入りながら会場に入る人も多くいました。
聞いた話では、あいさつに来ていた日本郵政の長門社長に対してヤジが飛んでいたそうですが、長門社長は経営陣の責任については何も触れなかったようです。ふざけるんじゃない。
これだけの大問題を引き起こして何も責任を取らなくてもいいのなら、現場での些細なミスにガタガタ言うな。(ちなみに、組合員であっても私たちは会場内に入ることは許されません。会社側の労務担当とかは堂々と入っているのに。これがJP労組と会社の関係です)
昼休みにもマイクでアピールを行い、「大幅増員を勝ちとろう」「本部は現場の声を聞け」と熱く訴えました。あわせて「非正規の仲間の正社員化を求め、スキル評価に反対」「改憲・戦争反対」の署名を呼びかけました。取材に応じていた組合員からは、「過度なノルマやパワハラまがいの指導は以前からの問題。放置した経営陣の責任は重い」「組合は問題点を把握しながら何も改善できなかった」と、会社やJP労組への批判の声が出ています。労使一体の中央本部や地方本部の役員はどうしようもなくても、現場の組合員は今の職場実態に怒りが満ち溢れています。
今年の大会闘争に参加して、改めて郵政資本や今の社会に対してどう立ち向かうべきか、労働者とどう向き合っていくべきか、現場の労働者とさらに結びつけば、JP労組の再生は絶対に可能であると確信しました。

職場は激しい競争と分断へ

2007年10月の郵政民営化から丸12年が経ちました。この間に、郵政職場をとことん非正規職へ置き換え、正規・非正規に関わらず全ての労働者を競争と分断、団結破壊に叩き込みました。全国の郵便局では、要員不足による強労働や、年賀状をはじめとした自爆営業、かんぽ問題の原因でもあるノルマ未達成者へのパワハラ……など、ブラック企業と呼ばれるゆえんの問題が噴出しています。業務中の交通事故も多発しており、死亡に至る事故も相次いでいます。「こんな仕事やってられるか!」と怒りを爆発させ、職場を去っていく社員があとを絶ちません。
現在の郵政グループ4社の社長は、すべてメガバンクや民間金融機関の出身者が牛耳っています。歴代の社長も含めて、国民の財産ともいえる郵政事業を食い物にしているのです。現場労働者の置かれている現実や職場実態など何の関心もないのです。
日本郵便を除く3社の株式を4年前の上場から一部売却してきましたが、売り出し時に比べ25~30%も下落させています。今年4月のかんぽ生命株式の売却については、「問題発覚を知りながら行ったのでは」と金融庁からも指摘されていますが、長門社長は「だまして売ったわけではない。売却時には問題を認識していなかった」と開き直っています。金融庁の立ち入り検査では、経営責任を徹底的に追及されるべきです。もちろん労働者の側からも、辞任に追い込まなければなりません。

労働者を裏切り続けたJP労組

生産性向上と同一労働同一賃金で組合員の労働条件を破壊し、こんな経営陣をのさばらせてきた最大の原因として、JP労組本部の責任は極めて大きい。
そのひとつとして、人事評価制度と一体化した賃金制度を導入・協約化したことです。「頑張った人が報われる」というキャッチフレーズで、民営化直後に、JP労組から主体的に提案した制度でした。現場からの激しい反対の声で交渉凍結の時期もありましたが、何度も修正を加えた上で、6年前の全国大会において強硬承認を図ったのです。労使一体となって導入した制度は、さらなる競争と分断を招き、労働者を追い込んでいます。
非正規職の仲間へのスキル評価制度も全く同じ性格のものです。いつまでたっても自爆営業がなくならないのは、これらの制度のせいです。愛媛では、この人事給与制度とスキル評価制度、5年更新時の雇止めを認めた無期転換制度の廃止を求めて、労働委員会闘争を闘いました。(本誌2018年6月号掲載)。即刻撤廃しかありません。

闘いが労働者を前進させる

1年に及ぶ愛媛県労働委員会闘争は、私たちが要求したことを勝ち取ることはできませんでしたが、多くの前進がありました。
昨年11月に行われた当事者尋問に、現場の労働者が傍聴に参加してくれたことです。闘争過程では、その都度、職場ビラを発行し配布してきました。正規・非正規の枠を超えたこの闘いに共感を示してくれたのです。
また、今年の全国大会には申立人4人が代議員選挙に立候補し、全員が職場の門前に登場して立候補ビラを撒きました。労組交流センター派としての立場を現場の労働者に鮮明にさせたのです。
全国の闘いに比べれば、まだまだ小さな一歩ですが、1年間の闘いの教訓や反省を糧にもっともっと現場に分け入っていきたいと思います。
今、香港の労働者、若者や学生が革命を訴え、ストライキや授業のボイコットなど必死に起ち上がっています。「未来は私たちのものだ。今何もしないと大変なことになる」と。あの真剣さと行動力を私たちも見習わなければなりません。
今秋の改憲阻止決戦勝利、関西生コン支部に対する国家権力を挙げての労組破壊大弾圧粉砕、そして排外主義を打ち破る日韓労働者の国際的団結を固める場としての11月労働者集会に、全国の郵政労働者は総決起しよう。

全逓

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